那珂川取水口差し止め 新たに署名4万人余
漁協、水戸地裁に提出 |
茨城、栃木両県の関係漁協が国を相手取り、霞ヶ浦導水事業の那珂川取水口(水戸市)建設差し止めの仮処分を申請している裁判(那珂川アユ裁判)の第四回審尋が9月10日、水戸地裁で開かれました。
審尋に先立ち、漁協側は建設差し止めを求める4万3368人の署名を同地裁に新たに提出。第1次分(2万7340人)とあわせ署名総数は7万708人に達しました。漁協側弁護団の安江祐弁護士は「7万人を超える署名は裁判の大きな力になる」と強調しました。
審尋で国側は、都市用水の安定確保などの事業目的の正当性を主張し、漁業権を侵害するものではないとした意見書を提出。漁業側は▽首都圏ではすでに水余り状態▽漁漁権を侵害する▽取水口にある吸い込み防止のスクリーンにサクラマスが接触して被害を受けるーと主張した準備書面を提出しました。 |
(「しんぶん赤旗」08年9月11日) |
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自然に与える影響は・・?
霞ヶ浦導水事業考える学術シンポ開かる |
霞ヶ浦導水事業(事業主体・国交省)が那珂川のアユと自然に与える影響について考える学術シンポジウムが9月6日、茨城県城里町で開かれました。霞ヶ浦と送水トンネルでつなぐ那珂川取水口〈水戸市〉建設の差し止め仮処分を申請している茨城、栃木両県の関係漁協と、漁協側から調査を委託された「霞ヶ浦導水事業による魚類・生態系影響評価委員会」が共催したもので、約二百五十人が参加しました。
川崎健氏(東北大学名誉教授)は「那珂川を守るために漁業者や流域住民が団結して反対に立ち上がっている」と強調。高村義親氏(茨城大学名誉教授)が「流れている那珂川と巨大な“水たまり”と化した霞ヶ浦の水を混ぜ合わせることは両水系に何のメリットもない」と指摘しました。
高橋勇夫氏(河川生物調査事務所長)は、国交省が発表しているアユふ化の時期とそれが流下する時刻に疑問を投げかけ、「もう少し精査する必要がある。取水口建設は時期尚早だ」とのべました。
浜田篤信氏(元・茨城県内水面試験場長)は霞ヶ浦へ送水すると那珂川の流量が不安定になり、漁獲量が減少するとの見通しを示し、丸山隆氏(東京海洋大学助教)は導水事業で生物多様性*が破壊されるメカニズムを詳しく説明しました。
会場からは「取水口工事が始まってから、ウナギやモズクガニがほとんど取れなくなってしまった」などの発言がありました。 |
(「しんぶん赤旗」08年9月7日) |
*地球温暖化抑止、生物多様性保全 日本共産党の基本的考え(日本共産党愛知県委員会)
「生物多様性とは、生態系・生物群系または地球全体に、多様な生物が存在していることを指す」(ウィキペディアより→全文)
事業に不安や懸念の声 霞ケ浦導水 漁協側シンポに350人(下野新聞)
翌9月77日に栃木県太田原市で開催されたシンポジウムについての地元紙報道
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