日本共産党茨城北部地区委員会                                   



糸 瓜 (へちま)    倉島 クニ子
今年の暑さを予測して
植えたわけではなかったが
天狗の団扇の葉は
居間への陽射しを和らげ
夜には涼風を送ってくれた

二つ三つと実をつけはじめた頃
棚に納まりきれなくなった蔓は
柿の枝を掴まえ
テラスへはい上がり
わが世の夏を謳歌する
やがて
柿ならぬ巨大な糸瓜をぶら下げて
庭は喜劇の舞台

最初の実をタワシに作って
台所で使ってみた
スポンジタワシにはない水通りの良さ
強い弾力は手の中に程よく納まる
古代の織物のような
粗く強靭な繊維の素を吸い上げるのなら
鯉の滝登りのような
水しぶきが聞こえるかも知れない
細い茎に耳を当てても
虫のすだきが聞こえるばかり

下の葉から黄ばみはじめ
茎は地上一メートルあたりで切られ
壜に差し込まれた
   痰一斗糸瓜の水も間に合わず
子規の辞世の糸瓜水は
落莫とした秋の色
無色透明な壜に
無色透明な液体が満たされていく

日本共産党日立金沢後援会ニュース(2004 年10月24日)より
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