日本共産党茨城北部地区委員会                                   

 2005年12月13日に開催された茨城県議会「平成17年度予算決算特別委員会」での日本共産党山中泰子県議の総括質疑のうち百里基地問題についての部分を橋本県知事の答弁と合わせてご紹介します。 

◯山中委員 次に,自衛隊百里基地について質問いたします。
 平成16年度の決算では,民間共用化事業として6億9,000万円が支出されております。この事業は,県民の利便性向上,交通ネットワークの大プロジェクトとして進められてきております。
 私ども日本共産党は,自衛隊基地を増強させることが真のねらいであるということを指摘し,中止を求めてきたところです。
 本年10月29日,在日米軍訓練の移転計画が日米合意として発表されました。百里基地を米軍基地にしようという計画です。地元小川町長は,11月21日,騒音の過重や安全,安心の懸念など住民生活に大きな影響を与えるもので断固反対と東京防衛施設庁に申し入れをいたしました。この住民の立場に立って,米軍基地にさせてはならないということを強く求めて質問に入りたいと思います。
 まず最初は,騒音についてです。本県は,12カ所の測定を行っておりますが,常時測定は2カ所です。常時測定の平成16年度の実績,これについてと県の対応についてお答えいただきたいと思います。

◯橋本知事 先ほどは,答弁が要らないということでしたですけれども,答弁要らないんでしたら,質問をされなければいいのではないかと私は思います。
 いずれにしましても,2カ所の固定測定局の測定結果でございますけれども,鉾田市の紅葉におきましては,うるささを示す指標でありますWECPNL値は90W,小川町の与沢においては87Wとなっております。
 なお,これらの測定局は,航空機の飛行回数など飛行場の運用状況を把握するために,飛行経路の直下に設置されているものでございまして,平成3年の測定開始以来,W値で84から93の範囲で推移してきておるところでございます。
 私ども,これを受けまして,防衛庁や防衛施設庁などに対して騒音低減対策の強化,防音工事対象施設の拡大,騒音監視体制の充実などを要望してきておるところでございます。
 この結果,百里基地では,御承知と思いますけれども,エンジンテスト時のサイレンサー使用や深夜や夜間,土,日,祝祭日などにおける飛行の自粛などがなされているところであります。

◯山中委員 うるささ指数,W値基準70をはるかに超える90W値は,ガードレール下の騒音と同じです。基地は,それに加えて,キーンという耳をつんざく爆音がするわけです。住民は,環境影響の意見書に,頭をかきむしり,耳を覆う日々はきのうきょうの問題ではないと,いらいら,いらいらときも休まるときもなく,音害,音の害というのか,爆音の攻撃になすすべもありませんというふうに書いております。
 環境省環境管理局の発表の平成15年度までの5カ年の実績でも,W値90以上は,百里以外は嘉手納,厚木だけです。平成15年度は,百里がW値91と全国で一番高かったわけです。嘉手納基地のF15訓練移転は,まさに騒音の過重になると思います。
 小川町長や住民の声をどう受けとめているのか,知事の所見をお聞かせください。

◯橋本知事 先ほども申し上げましたが,この2カ所の固定測定局というのは,飛行経路の直下に設置されているものでございまして,そのほかに,環境基準を指定した地域周辺10地点で測定を行っておりますが,この環境基準指定地域内におきましては,毎年1ないし2地点で70W値を超過しているところが出ているというような状況でございまして,今,委員がおっしゃられたように,周り全部が90を超えているといったような感じではございません。
 ただ,いずれにしましても,大変な御迷惑を地元の住民の方々にかけておる。そういう中で,できるだけ騒音が少なくなってほしいのはだれもが願うところでございまして,私どもも,地元の町長,あるいは住民の方々の意向というものを十分に踏まえて対応してまいりたいと考えております。

◯山中委員 ところで,1975年,昭和50年に石川県知事と防衛施設庁長官は,小松基地の騒音対策に関する基本協定書を結んでおります。協定書には,環境基準の達成と騒音の常時測定を国,県及び市町村共同で管理,障害防止工事は国の責任で実施するなど,盛り込まれているわけです。本県も,基本協定を結ぶなど騒音対策を国に求めるべきだと思いますが,所見をお示しいただきたいと思います。

◯橋本知事 石川県の小松では,名古屋の防衛施設局長との間で協定を結んでおるところでございますけれども,実は,この小松市の場合は,日米共同使用以前に,自衛隊小松基地との間で協定書を交わしていたことなどから,その経緯を引き継いだという特別な事情があるものと思われますが,その主な内容としては,小松基地の米軍による一時的な使用であること,期間は年4回,年間約4週間とすること,さきに航空自衛隊小松基地の運用に関し,防衛施設庁と交わした周辺環境対策などを実施することを旨とした協定書の内容を遵守することとなっております。
 こういったことにつきましては,実は,この百里の一時使用につきましては,期間及び使用目的が日米政府間での協定によって定められておりまして,自治体と防衛施設庁と改めて協定を結ぶ必要はないのではないかなと考えております。

◯山中委員 今,小松市の話ではなく,石川県の知事と騒音対策に関する基本協定書の問題で御質問したわけですけれども,全然違う答弁のように思います。
 改めて騒音対策を協定書を結ぶなどしてやっていただきたい。騒音対策でということで端的にお答えいただきたいと思います。

◯橋本知事 石川県小松市ではということで,小松市がやったという意味ではないんです。石川県小松市の範囲でということで限定して言っているだけでして,聞き方をちゃんと聞いていただければいいと思うのですけれども,いずれにしましても,私どもとしては,実は,ここに書いてあるような一時的な使用であることとか,期間は年4回とか,年間4週間とか,そういったことについては,もう既に実は向こうからの通知に全部入っておるわけです。そういったことを改めて協定する意味がどこにあるのかが委員の質問でさっぱりわからなかったものですから,私も答えようがなかったのですけれども,いずれにしましても,改めて書かなくても,今申し上げたようなことについては,例えば,平成2年3月1日付の東京防衛施設局長からの通知によって,使用期間は毎年4回と言っているし,1回当たり3日から15日間,そしてまた,年間約4週間の範囲というようなことは決められております。ですから,それを改めて協定結んでも何も変わらないわけですので,意味がないのではないかと考えております。

◯山中委員 ということは,先ほどの小川町長などが,もうこれ以上の騒音は困ると,やめてほしいという住民の方たちも,先ほど紹介したような思いを持っているわけですけれども,そういうことについては,思いをいたさないということなんですね。

◯橋本知事 それはさっき答えていますもの,それ。聞いておられない。

◯山中委員 基本協定書の問題を申し上げたわけですけれども,基本協定の問題を結ぶなどの騒音対策をきちっと協定書を結ぶなどしてやっていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
 それから,危険な実態の問題について,F15を含めた戦闘機の配備や飛行隊の訓練における事故についてどういうふうに把握しているのか,伺いたいと思います。

◯橋本知事 先ほどもお答えしましたような防衛施設庁局長からの通知の範囲内におきまして,5回ほど自衛隊機と米軍機による飛行訓練が行われているところでございまして,平成2年に4日間,平成4年に12日間,平成13年に4日間,平成14年に9日間,平成16年に9日間という状況になっております。

◯山中委員 自衛隊のイラク派兵が2003年,平成15年12月から強行されました。2004年度,昨年度,国から県に通知があった日米共同訓練は,今までとは規模も内容も違っておりました。自衛隊ニュースは,日米共同統合訓練が11月10日から19日の10日間行われたと報じております。県への通知は,実はこれは9日間でした。米軍の嘉手納,三沢,横田基地から208名が参加,再発進準備訓練が実施されたわけです。自衛隊員が発進準備中の米軍機にミサイルを搭載する訓練です。この演習には,在日米軍司令官が百里基地に陣取りまして,日米戦闘訓練を指揮したわけです。5月から11月にかけては,嘉手納に行き,米空軍空中給油機で給油を受ける訓練をしております。また,6月には,那覇基地の日米共同訓練に参加をし,7月から8月にかけてアラスカの米空軍主催の演習に参加,日本からアラスカへと5,400キロを往復する訓練で,米軍機の空中給油を受けているわけです。まさにこの事態は,アメリカ軍と一体になった訓練が強化されているということを示しているわけです。
 知事は,県当局は,こういう実態をきちっと把握すべきだというふうに思うわけです。日にちの通知だけで,実態を見ずに,県民に安心というふうには言えないのではないかと思います。共用化のパンフレットには,利用者と住民にやさしい空港,そして周辺の環境に及ぼす影響について事前に把握した上で,環境保全に十分配慮しながら事業を進めるというふうに記されているわけです。
 爆音,それから危険,戦争への道,このどれ一つをとっても住民にやさしい空港ではないわけで,防衛庁から通知された訓練について,その実態を把握していくのかどうか,そのことについてお答えいただきたいと思います。

◯橋本知事 先ほど,いろいろ前の質問の中で,訓練の期間とか参加部隊とかいうことも申し上げたので,日数だけ申し上げたところでありますけれども,自衛隊の方からは,参加部隊がどういうものであるとか,訓練の期間,参加予定機種,あるいは使用空域,それからどういう内容か,そういったことについてはもちろん通知が来ております。
 それについては,ただ,今,委員かおっしゃられたような形での詳しいことは私どもの方,一切承知しないわけでございまして,戦闘機による戦闘訓練としか演練項目というものも書いてきてございませんので,なかなかわかるような状況にはございません。そしてまた,それを百里基地の方に問い合わせをしましても,その中身については機密ということで,私ども把握できないという状況にございます。
 委員の方からもそういうふうな状況をおつかみでございましたら,教えていただきたいということもありますけれども,我々,なかなか本当のところ言って,ここのレベルではつかめないのが実情にございます。

◯山中委員 つかむ努力をされているのかなということを私は今のお話を聞きながら思いました。
 そこで,知事みずからが爆音の問題,これについても協定書を結ぶなどして対応する。それから,危険な実態,この実態把握に全力で取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。
 そこで,日米地位協定実施に伴う国有財産の管理に関する法律第7条,これは関係行政機関等の意見聴取として,内閣総理大臣は,あらかじめ関係行政機関の長,関係のある都道府県及び市町村長並びに学識経験を有する者の意見を聞かなければならないということになっているわけですよね。自衛隊の百里基地というのは,一定期間を決めて使用できる基地ということになっておりますから,日米地位協定の米軍の使用というのは,約4週間になっております。今回,日米再編による米軍訓練の移転というのは,米軍の常駐化など使用条件をこれまで以上に拡大する,これまで以上に使用条件を拡大することになるのではないかと思います。これは,日米地位協定を超えるもの,違反するものだと思います。
 知事は,どのように認識しておられるのか,伺いたいと思います。

◯橋本知事 使用条件を超えるというのは,どういう意味ですか。

◯山中委員 4週間というふうになっているわけですよね。それを超えるものになるということです。

◯橋本知事 まだ,どういうふうな中身になるのか,全く聞いておりませんで,仮に,この4週間を超えるというようなことになった場合には,また地元とも十分に相談して,先ほども申し上げましたように,町長,あるいは住民の声というものを十分に踏まえまして,県としても行動をとっていきたいなと思っております。

◯山中委員 現時点では,日米再編に関係する道県知事の対応は7人が明確に反対を表明して,市町村では議会決議も含めますと60自治体以上が反対しております。地元小川町が反対を要請し,鉾田,それから行方市長も受け入れないと表明しております。本県の歴史を見ても,1961年,昭和36年に県議会が米軍水戸射爆場返還の特別委員会を設置し,1973年,昭和48年には日本政府に返還をさせております。米軍は要らないというのが県民の総意ではないかと思いますが,知事の御所見を伺いたいと思います。

◯橋本知事 ただいまも申し上げましたように,まだやるということが決まっていないというふうに聞いておりますし,また,中身につきましても,全くにおいすらしてまいりません。それで,最近といいますか,極めて直近の時期にマスコミから聞いた情報では,さらにそれがやるかどうかということについて,いろいろ不透明な状況をお聞きしているところでございまして,そういった状況のもとで,私としては,地元の声を最大限に尊重して対応していくということでありますから,それは地元が反対ということであれば,私も反対ということであります。

◯山中委員 既に地元の皆さんは,これ以上の騒音も危険の実態についても受け入れがたいということを話をしているわけですね。ですから,明確に反対という意思表示をすべきではないかというふうに思いますが,改めてそのことを申し上げたいと思います。

◯橋本知事 私としては,少なくとも今決まっていない段階で云々というのもどうかということで言ってきておりませんけれども,相手方は,もちろん反対であるということについては,十分に認識しておると考えております。

◯山中委員 決まっていないということをお話ししておりますけれども,既に具体的なことは何も言わないで,お互いに何も聞かないで,しかし。

◯橋本知事 聞いていますよ。聞いたけれども,答えがないだけで。

◯山中委員 しかし,具体的にこれまでの一時使用からその条件が拡大していくと,米軍機が嘉手納から訓練移転するというのは,これまで以上の使用になるということで,その点では,知事が地元の反対意向を受けるというのであれば,明確に反対の意思を表示すべきだということを改めて申し上げて,質問を終わります。

(茨城県議会サイトより原文のまま転載)

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