日本共産党茨城北部地区委員会                                   


 04年9月24日に開かれた茨城県議会予算特別委員会で大内久美子県議が質問した5項目のうち、日立電鉄線存続問題についてご紹介します。


大内
 昨年10月16日、日立電鉄株式会社から日立電鉄線の廃止の検討が発表されて以来、約1年になろうとしています。この間、維持存続を求める運動が広がり、高校生や住民から5万人以上の署名が提出されました。しかし、日立市と電鉄は、代替バスを提案。常陸太田市は、鉄道存続のための新たな事業者を募集するという、両市のとりくみは、足並みがそろわず、今日を迎えています。
 こうしたなか、岡山電気軌道が応募し、協議再開と支援を申し出ています。さらに、「日立電鉄線を存続させる市民フォーラム」が市民出資による受け皿会社設立方針を発表するなど、新しい動きがでてきております。存続にむけて、このような動きに県はどう応えていくのか。調整と受け皿企業への支援、存続のための財政的支援など、企画部長の見解をお示しください。

■麦島企画部長
 県としては、再協議の申し入れを受けた常陸太田市とともに岡山電気軌道より鉄道事業を引き受ける条件等を確認した上で、2市等関係機関と協議し結論を出したい。市民出資による新会社設立の動きについては、存続を願う市民の熱意のあらわれと受け止めているが、存続のためには必要となる初期投資の資金調達や安全性の確保など運行面の問題、廃止問題表面化後も利用者の減少傾向に歯止めがかかっていないというなかでの問題などクリアしなければならない困難な課題が大変多い。

大内
 
3月に県企画部が発表した資料は、鉄道存続は、定時高速運行、環境、交流、地域経済など、バスに比較して年間で16億円の効果があるという内容でした。
 県は、この立場を貫いて、あくまでも存続を追求していくのが役割ではなかったでしょうか。協議のための「日立電鉄廃止問題対策実務者会議」は、5回開催したようですが、県と国はオブザーバーです。事務局はどこが担っていたのでしょうか。

■麦島企画部長
 事務局は日立市と常陸太田市。

大内
 
私はそこに大きな問題があったと思います。なぜなら、第1回目の実務者会議は1月16日、2回目は2月4日に開かれています。ところが、2月18日、日立電鉄取締役会で、平成17年4月1日の廃止を全会一致で決定。日立市長は取締役として出席、廃止を容認してしまったのです。この日立市が事務局です。どうして存続のための協議が進むのでしょうか。
 実務者会議は非公開で、利用者団体など、住民にはまったく知らされませんでした。
 しかし、鉄道事業法律施行後の鉄道事業の廃止に伴う調整については、地元協議会があります。知事が開催の申し出を地方運輸局に行い、座長は地方運輸局長、構成は、知事、市町村長、オブザーバーに廃止予定者と利用者団体、学識経験者が入り公開制となっています。
 私は、新しい動きと連動して存続のための協議会を、すみやかに設置し県の責任を果たすべきと考えますが、お答え下さい。
■麦島企画部長
 地域性が高い問題であり、地元2市の意向が重要と考えてきた。

大内
 
たしかに地元2市の意向は重要ですが、さきほど私が提案した協議会は国が座長になって茨城県と同等に参画し、地元利用者もオブザーバーとして出席して、公開です。5万人以上の存続を求める署名、日立市などではかつてない数の署名は、それだけ要望が強いということです。なぜ、県が協議会設置に踏み切れないのでしょうか。
 私が入手した内部文書は、日立製作所総務部長が6月に、日立電鉄社長に指示を出し、日立電鉄社長が応じたものです。日立製作所の指示は、「常陸太田市を議論のテーブルにつけさせることが最大のポイントと思います」。そして日立電鉄社長の答えは、「今後、代替バスに話題の焦点を移し、常陸太田市も土俵に上げる事を考え、日立市の課長と打ち合わせをし、代替バスの論議を始める予定。7月16日には、会議を開く」。このような内容でした。私の調査では、7月16日には、たしかに会議が開催されています。その後、8月4日に第5回実務者会議が開かれ、代替バスの路線案が発表されたのです。
 このように、日立製作所がシナリオをつくって、鉄道の廃止と代替バスを押し付けてきたことが、問題の本質にあると思います。廃止表明からわずか5ヶ月で廃止届けをした例は全国にありません。住民の願いに背を向ける大企業の横暴だと思いす。
 県は、今こそ、このようなたくらみを打開し、高齢者、高校生、住民の立場で、存続にむけて住民と共に、新しい動きにとりくむ責任があると思います。
 全国では、市民出資の会社に県が支援をし、廃止表明から2年9ヶ月かかって存続をさせた万葉線など、いくつかの経験があります。9月2日、NHKテレビの「ご近所の底力」でも報道されたように、存続こそ地域に連帯と希望を与えます。
 このままでは法律によって来年3月で廃止になってしまいます。日立電鉄は、廃止届けの撤回を要求し、国土交通省にも働きかけをおこない、存続の結論がでるまで検討期間を延長するように知事は努力すべきではないでしょうか。知事の所見をお聞かせ下さい。

■橋本知事
 岡山電気軌道の「基本的には経営に携わることは考えていない、経営コンサルタントとして関わっていきたい」などの意向から考えますと地元負担が大変大きくなってしまうのではということがある。岐阜県でも同じように岡山電気軌道からの申し入れがあり、地元負担が大きく厳しい状況ということを聞いていると、どこまで対応してくれるのか十分協議して行かねばならない。議論の内容次第によって大内議員の言っておられるようなこともあり得るかも知れないが現在の状況ではきびしいと思っている。
大内
 いまは住民とともに、地方政治は地方分権の時代です。新しい方向を作る−−そこに意欲を持って、存続のために取り組んでいただきたい。強く要望します。
 
〔ホームページ担当より〕
 「茨城県が、『利用客が廃線でマイカーやバスに転じた場合よりも、存続させた場合には、地域全体の便益が向こう30年間で約157億円上回る』という分析結果をまとめ、両市に示した」(2004.3.20「読売」)とマスコミで報道されましたが、その文書を原文のまま打ち込み直して掲載します。
 こちら→PDFファイル (4/8、若干の誤字、脱字を訂正)
   この文書の添付資料もご覧になりたい方はメールまたはFAX050-1237-8502でご連絡ください。

 9月2日NHKテレビで放映された「ご近所の底力」(ローカル線廃線問題)の録画をご覧になりたい方はご連絡ください。 メールまたは電話0294-53-8501
 永井孝二さん(日立市)の「鉄道は未来の財産だ」−−ちん電を守る妙案がいっぱい NHKテレビ「ご近所の底力」から学ぶもお読みください。

大内久美子index


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