日本共産党茨城北部地区委員会                                   

予算編成で知事に要望
 
 日本共産党茨城県委員会(委員長:田谷武夫)と県議団は11月1日、橋本昌県知事あてに、県の来年度予算編成と施策にたいする重点要望書を提出しました。
 これには、根本陽一日立市議(県議選予定候補)も同席し、非正規雇用の労働者を使う「偽装派遣」などの違法行為が県内大企業の製造現場でも広く行われている問題を指摘し、実態の調査を要望。また、安定した雇用拡大を図るため、視察した堺市の例をあげ、「ジョブカフェ」の機能充実などを要望しました。
 重点要望書の全文は次のとおりです。
 ・偽装請負 市田書記局長が違法告発/根本陽一日立市議が談話
 ・大阪府堺市 「就職アドバイザーのいるカフェ」 (ブログ「ようちゃん日記」サイト)


2006年11月1日                            
茨城県知事 橋本 昌殿
日本共産党茨城県委員会                
委員長        田谷 武夫
                   日本共産党茨城県議会議員団          
県議会議員 大内久美子
県議会議員   山中 泰子

2007年度 県予算編成と施策にたいする重点要望書

 自民党、公明党政権の5年間で、格差と貧困が広がり、県民に耐え難い苦しみが押し付けられました。ところが、安倍新内閣はその打開策を示さず、さらに医療制度の改悪や消費税増税など、国民の負担を果てしなく増やそうとしています。
 日本共産党が県内でおこなった住民アンケートでは、今の政治にたいし「不満」「怒っている」という人が8割になり、「暮らしが悪くなった」が7割に達しています。行政が力を入れるべき施策として、高齢者対策、子育て支援、雇用・経済対策が上位を占めました。
 いま、県政に求められていることは、国の悪政から県民の暮らしを守り、高齢者や障害者の福祉を後退させることなく、困難さを増している県民の暮らしを支え、中小商工業の活気を取り戻すあらゆる努力を払うことです。
 以上の立場から、緊急性の高いもの、重点とすべきものについて、要望書を提出いたします。積極的に検討し、実現を図られるよう強く申し入れるものです。

                 目  次

 1.増税から県民の暮らしを守る緊急対策をおこなう

 昨年から年金生活世帯などの高齢者の所得税が増税され、今年度からは住民税が増税となりました。ことし6月に入って、住民税の納付通知書が送付されると、市町村窓口に問い合わせや抗議が殺到しました。日本共産党のアンケートにも「納付通知書を見てびっくり、非課税だったのになぜ。納得できない」「市・県民税がいきなり10倍。高齢者は早く死ねということか」などの怒りの声が相次ぎました。
 収入が全く増えないばかりか、年金が減っているもとで、税の計算上だけで所得が増えたことにされ、それが連動して国民健康保険税や介護保険料も引き上げられるという二重三重の負担増となっています。
 6月県議会で可決された個人県民税の定率減税全廃による影響は130万人に及び、54億円の増税となりました。県、市町村独自の負担軽減策が緊急に必要です。また、すでに徴収された増税分は、高齢者や障害者、低所得者の負担軽減策に振り向けるべきです。

(1)県独自の負担軽減策を実施する。国に対してはいま実施している増税をただちに中止し、見直しをはかるよう求める。
(2)国民健康保険税、介護保険料、上下水道料の引き下げにむけた市町村支援をおこなう。
(3)県立大学・職業校・高校の授業料など県公共料金の引き上げはおこなわない。
(4)07年度から3年間の職員給与を5%カットする削減案は撤回する。

 2.子育て・教育、介護・障害者福祉の充実をはかる

 「構造改革」路線のもとで、国民の暮らしの支えになるべき社会保障が、逆に国民生活に襲いかかるという事態がおきています。国保税の滞納者が子育て世代でも急増し、保険証がとりあげられ、全額負担の資格証明書に置き換えられています。過酷な生活保護の抑制で全国では餓死者まででています。障害者福祉でも介護保険でも負担増によって施設から退所を余儀なくされるなど、どれひとつとっても胸がつぶれるような許しがたい事態がすすんでいます。
 本県では、これに拍車をかけるように、今年度予算で小児慢性疾患助成の削減、市町村国保への県補助廃止がおこなわれました。県内市町村が独自に助成してきた精神障害者通院費補助も打ち切りとなりました。いずれも31年間つづけられてきた大事な福祉施策でした。これら施策の早期の復活をあらためて求めます。
 県政が国の社会保障制度改悪のお先棒を担ぐのではなく、住民の暮らしと福祉を守る防波堤の立場にたち、次の要望の実現を強く求めるものです。

(1)就学前までの子どもの医療費を、自己負担と所得制限を撤廃し、完全無料化をはかる。
(2)小中学校の30人学級を実現する。当面、小学1、2年生で1学年3クラス以下に限定している35人学級を全学年に拡大する。
(3)老朽校舎の早期改修をはかる。本県の小・中学校の耐震診断率は32%、全国42位(06年4月1日現在)と遅れている。県に助成制度を創設し、学校の耐震化、老朽校舎の改修を緊急におこなう。
(4)養護学校の教室不足を早急に解消する。全校にプールを設置する。
(5)保育所、学童保育を改善する。待機児童の解消は定員を超える受け入れではなく、保育所の新増設や改築のための特別の予算措置でおこなう。産休明け、育休明けなどに機敏に対応できるよう保育条件や保育時間を充実させる。保育料の負担軽減策をおこなう。
 認定こども園に関する県条例制定にあたっては、職員配置、給食調理室などの施設、保育料の負担など、現状の基準を保障する。、ょう
 学童保育の全市町村、全小学校区設置を支援する。施設整備や指導員の待遇改善、障害児の受け入れにたいする助成をおこなう。施設、指導員配置などを定めた学童保育設置基準を策定する。児童館の増設をはかる。
 児童相談所を県南地域に増設し、児童福祉司を増員する。
(6)介護保険、高齢者福祉の充実をはかる。介護保険料・利用料の減免制度をつくる。市町村がおこなっている減免措置にたいし財政支援をおこなう。施設利用者にたいする食費、居住費などの負担増に負担軽減制度を実施する。軽度の高齢者にたいする介護ベッド、車イスのとりあげを中止するよう国に求める。福祉用具を自費で購入・レンタルする高齢者に助成する。
(7)障害者自立支援法による負担増の軽減をはかる。障害が重い人ほど負担が重くなる原則1割の応益負担の導入、大幅な利用者負担増による施設からの退所、報酬の激減による施設経営の悪化など、矛盾が噴出している。国に「応益負担」の撤回を求めるとともに、小規模作業所への支援、県独自の負担軽減策をおこなう。
(8)小児科、産科などの医師不足の解消をはかる。筑波大学の定員の本県出身者枠の増加を国・大学に求める。今年度創設した医学生向けの「県医師修学資金」制度(月額10万円を無利息貸与)は、県外学生に限定するのではなく、県内の大学にも適用する。
  県北地域に第3次救急医療体制としての救命救急センターを設置する。

 3.地域経済を振興し、安心して暮らせる街づくりをすすめる

 一部の大企業が史上空前の利益を上げていますが、多くの県民、中小企業は未だ景気回復の実感などありません。一方、「派遣」や「請負」など非正規雇用の労働者を使った違法労働が大企業の製造現場を中心に多発しています。県としても、不当な格差や差別をなくすなど、非正規雇用の問題に積極的に取り組む姿勢が問われています。
 県は「雇用機会の創出」の名で進出企業に県税免除をしていますが、9月議会では正規、非正規の雇用形態すら把握されていない実態が明らかになりました。実態を調査し、進出企業には地元から正規雇用するよう要求すべきです。

(1)安定した雇用拡大をはかる。県自ら雇用不安をつくり出している職員・教職員削減計画を中止し、教育、保育、医療、介護、消防など県民生活に必要な分野での雇用を拡大する。とくに県下の事業所に青年を正規雇用するよう強く要請する。相談窓口、職業訓練制度の拡充など青年雇用をふやす特別の対策をおこなう。「ジョブカフェ」の機能充実をはかる。
(2)中小企業、商店街への支援を強める。中小企業・商工対策予算を増額する。中小企業の経営基盤を強化する支援をおこなう。融資限度額の引き上げなど県の融資制度の改善をはかる。
 大型店の無秩序な進出を規制する県独自の条例を制定する。撤退にたいしては事前協議と代償措置を義務付ける。商圏が複数の市町村にまたがるものは県が広域的調整をおこなう。空き店舗対策など「にぎわい」のある商店街づくりを支援する。
 消費生活センター取手分室を存続し拡充する。
(3)農家経営を安定させ、農業者が安心して営農できる農政をすすめる。大規模経営だけを対象にした「農政改革」ではなく、兼業など地域や農家の条件に応じた家族経営や協同事業の支援を基本とする。地産地消の取り組みを支援する。県産品の農水産物を学校や病院・福祉施設などでの給食に積極的に活用する。直売所など消費者・住民との共同を支援する。
(4)「地域再生」などのとりくみを積極的に支援する。地域のさまざまな資源を発見・活用し、産業振興や住み良い地域づくりをめざすとりくみが各地で広がっており、こうした内発的な産業・地域おこしを積極的に支援する。農業、商業、工業など異業種間の交流を強める。
(5)道路、下水道、街路灯の整備をはかり、安心して暮らせる街づくりをすすめる。通学道路、生活道路の改良、車イスでも通れるバリアフリー化、歩車道分離、信号機の設置を促進する。
 河川整備、公共下水道の整備を促進する。相野谷川・北浦川の早期改修、那珂川左岸の水戸市下国井町の築堤計画をすすめる。那珂久慈流域下水道水戸幹線は2008年度利用開始にむけて全工区着工する。
 取手競輪場の早期廃止を検討する。新大利根有料道路は即時無料化する。
(6)地方鉄道の存続の支援し、県独自の支援で循環バスの充実をはかる。JRにたいし東京都内を自由に乗り降りできる「東京自由乗車券」の復活を求める。鹿島鉄道など地方鉄道の存続のために支援する。市町村が独自に運行している循環バスなどに助成する。つくばエクスプレスについて守谷〜つくば間の快速・区間快速の増便と最終時間の延長、駅に駐輪場の設置をすすめる。
(7)環境保全をすすめ、住民の安全を確保する。霞ヶ浦浄化対策を強める。高度処理浄化槽の設置、減農薬農業への転換をすすめる。大規模浚渫(しゅんせつ)事業を中断し、浄化効果を検証する。県の工業団地内への有害物質PCBの処理施設計画は中止する。
(8)東海第二発電所でのプルサーマル計画を中止する。運転開始から27年を経過し、事故やトラブルが急増している。総点検を実施するとともに、廃炉計画を検討する。ゆきづまった原発依存を転換し、自然エネルギーの開発・利用を本格的に促進するよう国に求める。

 4.ムダな大型開発は見直し・中止する

 大型公共事業優先のやり方は、完全にゆきづまっています。開発行政の受け皿となってきた県住宅供給公社と土地開発公社の破たんが示しています。695億円の税金投入という破たんのツケを県民にまわしながら、今後も大型開発優先をつづけることは許されません。港湾、空港、ダムなどの大型開発は、公共事業予算の総額が削減されているなかでも継続、拡大されています。いま必要なことは、公共事業の中心を県民生活に役立つ分野に切り替えることです。

(1)常陸那珂港中央ふ頭建設は中止する。北ふ頭の取扱貨物量が目標の35%にとどまっている現状で、中央ふ頭建設は、今後、3000億円以上を投入し、北ふ頭実績の6倍という過大な貨物量を見込んでいる。
(2)航空自衛隊百里基地での「民間共用化」事業は、過大な需要予測、危険性、騒音・環境の悪化、財政負担などから中止する。
(3)長期水需給計画を見直し、過大な水資源開発をあらためる。霞ヶ浦導水事業、八ッ場(やんば)ダム、湯西川ダムの建設中止を国に求める。
(4)公共事業は生活密着型に転換する。学校の改修、福祉施設、病院の建て替え、生活道路の改良、県営住宅の建設など県民生活の向上に役立つ公共事業に切り替える。

 5.米軍機訓練移転に反対し、県民の平和と安全をまもる

 憲法9条を変えて「海外で戦争をする国づくり」をすすめる動きが国会で強まっています。この動きとも深くかかわる米軍再編で、百里基地に米軍機訓練移転が押し付けられようとしています。「これ以上の騒音、訓練はやめてほしい」――これが地元住民の切実な願いです。10月21日には「茨城の空に米軍機はいらない」の一点で共同した県民集会が地元・小美玉市で開かれました。県には、住民の安全を守る自治体としての役割の発揮が求められています。
 
(1)憲法・教育基本法をまもる。憲法の改定に反対し、平和的民主的条項と地方自治をまもる。教育基本法の基本理念を教育行政に生かす。
(2)百里基地への米軍機訓練移転に反対する。百里基地での早朝、夜間、昼休み時の飛行中止を求める。騒音被害にたいする調査をおこない被害補償を国に求める。基地周辺の騒音測定は測定個所・地点を増やす。原子力施設上空の飛行を禁止する。
以上

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